◆鳳凰の花簪◆


 えもいわれぬ芳香が漂う中、煌々と輝く月光に照らされた牡丹苑に、豪華な薄桃色の衣装を身に纏って立ち尽くす、優美な女の姿があった。月明かりに照らし出されたその顔を一瞥した瞬間、あまりの美しさに尚隆は呆然と息を呑む・・・。
 歳の頃はおそらく二十歳にもなるまい。
 複雑な形に結い上げられ、珠玉や花簪で飾られた漆黒の髪の豊かなつややかさ。
 額から鼻にかけての臈たけた細い線。
 顰められた蛾眉の優雅さ。
 しっとりと潤みを帯びた切れ長の明眸、しばたく長い睫毛の微妙な翳り。 
 芙蓉花とまがう朱唇のなんという魅惑的なかたち。
 そしてそれらをつつんだ輪郭は、譬え様もなく巧緻で、優美な気品を湛えていた。
 透けるような純白の肌理の清らかさは、朝陽をうけた白絹とたとえてもまだ及ぶまい。
 嫋々とした肩、まろやかに盛り上がった双の桃顆の柔らかなふくらみ、腰から腿にかけてのしなやかな線。
 それらのすべては抱き締めると、そのまま溶け消えそうな繊細典雅の風情であった。

〔美しい! なんという美しさだ・・・〕

 尚隆は胸の裡で、感嘆の呻きをあげる。
 長い間生きてはいるが、かつてこれ程までに美しい女は見たことがなかった。


〔そなたは・・・、誰だ?〕



 答えはない。










「ももいちごの夢」様(管理人:ももねこ様)とのコラボで、十二国記の二次創作のヒロインを描かせて頂きましたvv
美文に絵が追っついてません〜っっ(;O;)
すいません…ひたすら平謝りするのみでございます…。

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小説の続きはももねこ様のサイトでご堪能下さいませ(^O^)